第30回の記念大会である神奈川県歯科技工ゼミナールでは『間接法とCAD/CAM』と題して金子一芳先生に講演して頂きました。「CAD/CAMの必要性をあまり感じていない。戦後50年、積み重ねられた間接法と鋳造システムは、まだまだ十分に対応できる」との発言で始まった金子先生のご講演ですが、そこには、伝統と継承というキーワードがありました。そして、今のCDA/CAMは、技工の一部を代用しているにすぎず、PC自体は考える事が出来ない、つまりそれだけでは、発展性に乏しいと話されました。今回の講演内容は、金子先生ご自身の歴史と貴重な臨床経験を基に、技工の歴史を絡めたものでした。歯科技工士に向けて講演されたのは、本日が3回目とのことです。
Champion Data in Vitroという言葉がありますが、先生は、逆に、Bottom Result in Vivo という言葉を作られました。実際の臨床で出くわすのは正にこれであり、あくまでも、Champion Dataのみを鵜呑みにしてはいけないと強調されました。そして、すべての修復物は天然歯の持つ美しさを目指すべきだが、歯の色調は様々なファクターで変化し、天然歯の変化を映して協調させるにも、歯質や歯髄の保存に勝る王道は無いと併せて述べられました。他にも、6,7欠損における顕著な臨床的課題は、受圧条件や加圧条件、また咬合支持のサブファクターによっても変異する事や、インプラントにおいて、義歯側のレストを非メタル化する夢はCAD/CAMを使ったジルコニアでも叶えられない事などを説明されました。
先生は多くの症例からインプラントにおける垂直圧、側方圧の考え方はテレスコープ義歯で経験した事を生かす事ができるとし、上部構造の設計に無理が無ければ天然歯との連結は可能である事なども論じられました。また、生体内への異物持込は最小に止めるべきで、1顎にインプラント体埋入のリミットは2本であると述べていらっしゃいました。。
最後に、"歯医者は裸の王様" あきらめ、こだわり、競争心、好奇心が人を成長させる、という言葉で先生は講演を締めくくられました。今回、ご講演を拝聴させて頂き、歯科治療・歯科技工の歴史を再認識することができました。 参加できなかった方は、次の機会に是非参加してみて下さい。 東京都歯科技工士会文京支部 多田仁美

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