第31回神奈川県歯科技工ゼミナールを終えて

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P1020510.JPG去る2010年9月20日、第31回神奈川県歯科技工ゼミナールが開催されました。今回は、特別講演に大阪市より重村宏先生を迎え『Japan Craft~モノ作りの原点に立って~』というテーマでお話をいただきました。

さらに先生には、スペシャルテーブルクリニックとして、マイクロスコープを使用しての実演も行っていただきました。また、神奈川県の歯科技工士18名による13題のテーブルクリニックもベテランから若手まで、日ごろの取り組みを真剣に発表していただきました。


特別講演は、冒頭から3Dアニメーションの圧倒的な映像から始まりました。チューニングサイクルは通常、平面の点と線でしか表現されませんが、そこに歯牙の模式図を載せ立体的に魅せる事で分かりやすくなり、あらためて認識することができたと思います。時々3D画面の女性が瞬きをするところに、先生の遊び心が垣間見られ参加者も和み、一気に引き込まれていったように感じました。顎関節のX線規格撮影による下顎誘導法は、現在の先生の取り組みの根幹をなすもので、補綴物によって下顎を顆頭安定位に導く術式ですが、今回はメタルスプリントを使用して治療された症例をもとに説明されました。時間の関係で概略だけの紹介になったので、深く理解するのは難しかったかと思いますが、これを機会に特に若い参加者が関心をもって勉強を進めていってもらえればと思います。

~モノ作りの原点に立って~のテーマは、まさに先生の代名詞である"適合"の話が中心になりました。CAD,CAMのオールセラミックスのフレームとメタルフレームの適合の比較では、歯に衣着せぬ意見を述べられましたが、どちらで行うにしろその材料の性質を正しく理解し、それらを有効に生かし良質な補綴物を製作する。そのためにも歯科補綴の基本が重要であるというお話でした。しっかりとした適合で製作されたメタルボンドクラウンに歯肉が付着している写真が示されましたが、まさにこれを目指さなければいけないんだということを再認識させられました。


P1020564.JPG後半のテーブルクリニックはマイクロスコープの下、WAX UPの基本を実演していただきました。特別講演で示されたメタルフレームの適合はどのように実現されるのか、分離材の塗り方、WAXの盛り方、マージンの切り方など教えていただきました。自分の誤解だったのですが、"適合の重村"異名を持つ先生だったので支台の全ての部分をガチガチに適合させるものと思っていたのですが、マージン以外で適合が不必要な箇所や当たりがでそうな所は、WAXの収縮を利用してわざと適合させないと聞き、なぜかホッとしました。ワンポイト(裏技)で、メタルのマージン部に入った小さな気泡の削除に、細いフィッシャーバーを四角錐状に削ったものを使用する方法を教えて頂きました。ダイヤモンドディスクで研げば何度でも切れ味が戻るので経済的にも有効だと感じました。さらに埋没の実演の際は、会場の若い参加者を壇上に招き、楽しい雰囲気で行うことができました。先生の目指す「モノ作りの喜び」の入口に若い歯科技工士が立てたなら、それだけでこの講演が成功だったのではないでしょうか。


 神奈川県の歯科技工士によるテーブルクリニックは例年より多い13題18名になりましたが、どちらのテーブルも活発な意見のやり取りがあったようです。日常の技工と"ちょっと違う方法""ちょっと新しい材料"に触れることができ刺激になったのではないかと思います。特に初めて発表した若い演者はこのために準備し、質問に備えて勉強を重ねて当日を迎えたものと思います。その経験は、必ずや今後の活動に生かされることでしょうし、それに触れた観覧参加者も自らの技工に何らかの影響があるものと思われます。全体を通して、若い参加者の真剣な表情が印象的でした。これからを担う彼らの積極的で真摯に技工に向き合う態度に触れ、少し胸を撫で下ろすことができました。我々としては、重村先生も目指されている技工の楽しさやその先に見える患者の笑顔を実現するため、いっそうの活動をしなければと心に誓う一日になりました。ご協力していただいた皆様に感謝いたします。

神奈川県歯科技工士会 学術委員 宇佐美孝博

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